風やまぬ地(Tor/愛)

6152abe3.jpgArdaraからさらに北へ、Crolly方面へ向かう。
Ardaraのあたりはまだ緑があったが、
進むうちに、荒涼とした風景になっていく。

道路から細い道へ、そして
いくつかの透き通った小さな湖を通過すると、
山の中腹、Torというところに
今日泊まるユースホステルがある。
眼下には、牧場が広がり、背後には山がそびえ立つ。
建物は数件ちらほら。あとは何も無い。
強く吹き付ける風は一年中止む事がないそうだ。

アイルランドに来てからずっと晴れ間が続いてきたが、
はじめてここで、今にも降り出しそうな曇り空で肌寒い。
数時間後の景色の変わりようにいささか驚く。
当たり前だけど、遠くまで来てしまったなぁ…。

ユースはとても暖かい雰囲気で、
アイルランド人のオーナーと
フランス人の奥さんがにこやかに迎えてくれる。
宿泊客は、ドイツ人の家族や、イタリア人たち。
こんな小さいところで、ちょっとした人種のるつぼである。
コモンルーム(談話室)でお茶を飲みながら、
英語でお互いのことを話す。
何故かバッハの話になって
「日本ではBachのことをバッハというのー」
と言ったらドイツの女の子にくすっと笑われた…。

ユースはお洗濯や料理が出来るのがいい。
早速、途中のスーパーで買った、
野菜とタイ米、そして日本から持ってきた(!)カレールーで
カレーを作る。
ひさしぶりの米!たくさんの野菜!
懐かしき(といっても1週間ちょっとしか経ってないけど…)
ジャパニーズカレー!

夜は、Crollyにある、Leo’s Tavernというアイリッシュパブへ。
ここはエンヤや、クラナドのモイヤ・ブレナンのお父さんである
レオの経営するパブとして大変有名である。
やはりここに来たからには…と思って寄ってみたのだが、
ライトアップされた外壁のロゴ、たくさんの車、
店内はこの田舎の村に!と思うほどのお客さんで大盛況。
そりゃこのあたりの観光地なのである。
私の頭の中には「エンヤ御殿…」という言葉が浮かび、
演奏もキンキンするロックだったので、早々に退散。

ごうごうと響く風の音を聴きながら就寝。