ルミさん

阿佐ヶ谷のカフェバーRojiのママさんで、私のアコーディオンクラスの生徒さんでもあった高城ルミさんの追悼文集「ルミさん」が手元に届きまし た。かなしい出来事だけれど、幸福感に満ちた本。ルミさんを取り巻く皆さんのあたたかい気持ちに溢れています。ああ、明るくて少女のようなルミさん…!
少し読みだしただけで、もう目が霞んでくる…
ページの真ん中には、楽しそうにアコーディオンを弾くルミさんの写真。彼女の人生の愉しみのお手伝いが少しでも出来たのなら、よかった…

私もルミさんとの楽しかった思い出を書かせていただきました。長文ながら以下に転載いたします。

「ルミさんとアコーディオン」

藤野由佳

ルミさんは、私のアコーディオンクラスの生徒さんでした。中型と小型のアコーディオンをお持ちで、小さい方は、白いボディに赤いチロリアン柄の肩ベルト、 お洒落なルミさんらしい組み合わせでした。ルミさんは、少女のように…凝り性だったり時々飽きたり、を繰り返しながら、フランスのシャンソンやミュゼッ ト、ジャック・タチ監督の映画「ぼくの伯父さん」のテーマ曲、ザ・バンドのラストワルツなど…色々な曲を弾けるようになっていました。ちょっと力んだとこ ろもありながら、音楽的な流れがしっかりある、楽しい演奏でした。
レッスンが終わって私が空いている時は、おしゃべりもたくさんしました。お子さんのこと、お店のこと…いつも嬉しそうに話されて、それを聞いているのが好きでした。
ある時、ご主人も一緒に三人でトンカツを食べに行った事がありました。ご夫婦共々、私のお皿にどんどんカツをのせていくものだから、いつしか2人前分位に なっていました。Rojiに行っても、ルミさんはいつも「先生、お腹すいたでしょう?!」と、ごはんを大盛りで出してくださるのです。病院を抜け出してき て、ご馳走してくださったのも大きなケーキでした。
ルミさんが最後に練習していたのは「ドミノ」でした。出だしの哀愁あるメロディが印象的なシャンソンです。この曲を弾いていると、今でもルミさんの人懐っ こい笑顔と、サバサバとしたあの口調と、少しあぶなっかしげな手つきがよみがえってきて、鼻の奥がつんとして…なかなか弾き通すことができません。

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