素敵な本に出会いました。
(サブカルなお店、中野タコシェで…)
リトルプレスの『与謝野晶子詩集』。
与謝野晶子といえば、激しい恋の歌か「君死にたまふ」
といった学校で習ったものしか知らなかったのですが、
この本は、薔薇を中心とした花や自然の詩を編んだ
アンソロジーです
薔薇がこぼれる。
ほろりと、秋の真昼、
緑の四角な瓶から
卓の上へ静かにこぼれる。
泡のやうな塊、
月の光のやうな緑。
ラフワエルの花神の絵の肉色。
(「秋の心」より)
こんなに香しく静謐な詩をたくさん書いていたなんて…
文字を追うだけで色あざやかな色彩が目に浮かんでくるようです。
編集は早川茉莉さん。
クリーム色で、カフェでゆっくりひもときたいような
手のひらサイズ。そして端正な作りです。
本の中には、こもれびの緑かがやくポストカードや
彼女のアトリエの名を冠したスタンプ付きしおりが差し挟んであったり、
おまけとして、スクラップブック用の押し葉や
使用済みの外国の花の切手、蔵書票なども入っていて
すみずみにまで行き届いた気遣いがとても嬉しい。
*
知人のコイバナを伝え聞く。
…とても悲しい話でちょっと凹む。
憎まれる程に狂うのか、
自分の糧にして新しい未来を生きるのか。
後者のように生きられればいいけれど…
今生ではもう、この人と共にあることはない…と決意することは
あまりに重く辛いことだなと思います。
かといってすべての者を泥沼の底に沈めて行くのはもっと悲しすぎる…
たったひとりの相手を求め
彷徨う魂がなんとこの世には多いことか…