音楽祭の夜(Ardara/愛)

eac2c427.jpgスライゴーから車で、
アイルランドの北西部、ドニゴールの
中心街の一つ、Ardaraへ。
カラフルな色の家々が並ぶ
かわいらしい街で、
ちょうど音楽祭を開催中である。

街の中央広場にはカラフルな旗がつり下げられ、
いたるところのパブに「今夜演奏あり」
と書かれた看板が出ている。

スライゴーでの経験を生かし、
早めに夕食を済ませ、部屋で一息ついてからパブへ。
演奏は皆10時~10時半頃からゆるゆると始まる。

最初に見た2件のパブはどちらも、
カントリー風味なパブソングライブだったので、
3件目、The Beehive Barへ。

ここでは総勢15人強のおじさんたちが
大きなテーブルを囲んでセッションをはじめようとしていた。
フィドルたくさん、バンジョーたくさん、ティンホイッスル、
ギター、バウロン。

なんとスタイリッシュで格好いいセッション!
黙々淡々と演奏を続ける。
スピードは速めで、フレーズやリズム、
コードアレンジも凝っていて、しぶくてキマっている。
ちょっと現代的にも感じる。総じて職人気質である。
それに一生懸命ついて行こうとする若者もいたりして…。

はじめは大人しく聴いていたのだが、
知っているチューンも多く、むずむずして
思わず、スキンヘッドのバウロンのおじさんに
「入っていいですか?」と聞くと、
にやりと「いいよ、椅子もってきな」と言う。
隅っこに混ぜてもらう。

輪の中に入ると、
2つのグループの集まりで
片方が演奏をリードすると、
次はもう片方…ということになっているらしい。

演奏に加わってみると、
セッションの中にあるリズムの渦、をより強く感じる。
強烈に一つに集約されていく。

知らない曲は、そのチューンを覚えるように
邪魔な音は出さずに、指で追うのだが、
それもまた、いい曲に出会えてわくわくしてしまう…。

隣の無口なフィドルのおじさんが、
たまに曲の事を教えてくれたり、
サンドイッチを勧めてくれたりする。

一区切り着く頃には夜中の1時過ぎ。
はじめはいかつい表情をしていたおじさんたちも、
お酒も入ってすっかりご機嫌になっていた。

写真は昼間のArdara。坂を下りると中央広場。