誇り高きカローデン(Culloden/蘇)

ffded770.jpg翌日インヴァネスへ戻り、バスでカローデンへ。
「Culloden’s harvest(カローデンの実り)」
というとても印象深いスコティッシュソング、
その由来の地である。

ここは、1746年、カローデンの戦いが起こった場所である。

イングランドのスコットランドに対する、長年に渡る不当な差別、
王権、宗教の対立、貧困…そうした様々な事情を背景として、
ジャコバイト派(フランスに亡命したジェームズ七世を支持する人々)
―その地盤であるハイランドの氏族達が、
ジェームズの息子、チャールズ王子(ボニー・プリンス・チャーリー)を
中心に起こした最後の乱が、カローデンの戦いである。

カローデンの戦場跡へ入るために、
まずビジターセンターを通る。
今年リニューアルされたそうなのだが、
中でも展示施設が実によく出来ていた。

イングランド軍は赤、ジャコバイト軍は青、
をテーマカラーとして、展示がデザインされており、
武器や絵画資料、当時の生活用品など、
豊富な資料類が時系列に並べられている。

また、タッチパネルに触れる事によって
当時の関係者の証言(再現)を聞く事が出来たり、
戦いの動向を映像で示したり、
最新機器と様々なアプローチによって、
この歴史的事件を体感出来るようになっている。

一通り戦いについて理解を深めると、
その先がカローデンへの入り口につながっている。

野には、それぞれの軍が立ち並んだ場所に
赤と青の旗が立てられている。

建物側が赤のイングランド軍。
ゆっくり7,8分ほども歩くと、ジャコバイト軍の青い旗にたどり着く。
こうしてみると随分広大に感じるけれど、
いったん馬や大砲を使って戦いを始めたら
互いが相まみえるのも時間の問題だろう。
実際、劣勢であったジャコバイト軍は大敗を喫す。

ジャコバイト軍側の草地は青々したイングランド軍側に比べ、
茶色く植生も違い、そこに寒々と旗が揺れていた。

さらに歩いていくと、
その途中には氏族達を弔う大きな碑、
小さな碑もいくつもある。
そこにはいたるところ花が飾ってあった。
氏族の子孫達が詣でるのだそうだ。

誇りを持って戦った先祖達は一族の誇りであり、国の誇り―
展示の姿勢もそうであったが、
ここはこれからの未来のために、
歴史の一断面とともに、
スコットランドの誇りを伝える場所でもあるのだな、
と思った。

野を一巡りして、施設に戻ると、
今度は出口へ向かって、
「カローデンの戦い、その後」の展示へと続いている。

氏族は解体、言語と音楽も禁止され、
多くのハイランダー達は、英国軍隊へと駆り出されていく。

Cold winds on the moors blow.
Warm the enemy’s fires glow.
Like the harvest of Culloden,
Pain and fear and death grow.
(Culloden’s Harvest/Words & Music Alastair McDonald)