スカイ島の音楽(Isle of Skye/蘇)

951521d1.jpgインヴァネスに戻り、汽車でkyle of Lochalsへ。
この路線はスコットランドの中でも
車窓が美しいことで有名らしいのだが、
昨日のカローデンの事をぼーっと考えていたら、
到着してしまった…

ここからバスで橋を渡り、スカイ島へ入る。

スカイ島は、カローデンの戦いの後、
ボニー・プリンス・チャーリーが、
フローラ・マクドナルドという女性の助けを得て
逃げ込んだと言われる。
音楽的には、そのプリンスにちなんだ古謡
「Skye Boat Song」が有名だし、
近年dochasという素晴らしい若手グループのメンバーが
この島出身で、豊かな音楽が生まれる場所を見てみたい、
と思ったのである。

島に渡ると、最初はスコットランド本土と変わらないような
緑が続いていたが、そのうち、ごつごつした岩肌の、
荒涼とした山々が続く、ダイナミックな風景に変わる。
これぞ島の醍醐味か!
…しかし、このバスもまた運転が荒く、徐々に意識が遠のく。

着いたのは、島の中心地、Portreeである。
小さくて可愛らしい建物の並ぶ街で、
メインストリートは土産物屋や郵便局が並ぶ1本、
街の主要部は急ぎ足で15分もあれば回りきれる位。

メインストリートから1本入ると、
Skye MusicというCD&楽器ショップがある。
最新のスコティッシュCDと楽譜の品揃えが豊富だった。
そこにあった、立派なスコティッシュ・チューン全集は、
裏を見ると、出版元がスカイ島である。
お店の奥からは子ども達のフィドルのレッスンの音が聞こえる。

さらに広場を越えたところに、
もう一件、CD&ブックショップがあって、こちらもまた充実している。

5月末にはアコーディオン&フィドルフェスティバルも行われるそうで、
街中にビラが貼ってあった(見たかった…)。

…と、
小さい島なのに、なんとも音楽が充実した地なのであった。
地元の人々が協力しあって盛り立てている空気があり、
それが成功しているように感じた。

演奏もあれば聴いてみたい、と思ってお店の人に聞くと、
本格的なセッションは水曜日だが、
今日(火曜日)も、
Isle’s Innというパブでケイリーの演奏があるという。

広場の片隅にあり、街のメインパブなのだろう、
地元の人々で賑わっている。
しかし演奏を見ているのは、皆観光客。

メンバーは、ものすごーく分厚い楽譜のファイルから
片時も目を離さずにフィドルを弾くおじいさんと、
それを見て苦笑いしながら弾くピアノアコーディオンのお兄ちゃん、
にこにこしたギターのおじさん。

演奏はゆるゆる~でコテコテであった。
…これは観光客相手の営業演奏だな…。
Skye Boat Songなんて崩壊しそうだった…かなり飽きてるんだなー…

マイクをがんがん通している
アコーディオンのお兄ちゃんだけ音量が大きく、
一人でも通用しそうなほど、音を支配していた。
勿論一番上手いのだが…。
スコティッシュのリールやジグは、弾き癖や装飾音の付け方が
アイリッシュと全然違う。
このいなたい感じ…これはこれで好きだ。
どこからかブンチャ、ブンチャッと、
ピアノの伴奏も聞こえてくる。
ふと見ると、アコーディオンの左手のベースボタンだけ
MIDIで繋いでピアノの音で出しているのであった。

…この手法、そういえばスコットランドの名ピアノアコ弾き、
フィル・カニンガムもコンサートでやっていたのをDVDで見たが…
後でこのおにいちゃんに聴いたところ、
スコットランドでは一般的なのだそうである。
私などは聴くと違和感があるけれど…。
確かにこれならケイリーピアノ必要ないしな…

写真は、高台からPortreeを望む。
ほとんど人も通らないので、練習がてら
Skye Boat Songを弾く。