「コンサート二日目」フィンランド演奏記その7

二日目にして最後のコンサートは、Kaukasのフェスティバルハウス。いわゆる公民館のようなところで、近くに住むTimoさんは、音楽監督として様々な企画をしている。そこに今回の我々のコンサートも組み込んでくれた。

この日は、ヘルシンキ中央駅前で待ち合わせ。カンテレ奏者あらひろこさんの息子さん、モトさんと合流して、皆で向かう。モトさんはロンドンの大学院で勉強中で、今回あらさんに作った曲を演奏する、ということで来てくださった。モトさんは勿論英語が堪能で、TimoさんもPhillipも嬉しそう。私は私で日本語で久しぶりに会話出来てほっとしたのであった…。

Kaukasまでは車で一時間ほど。
フェスティバルハウスは真っ白な木の建物。入り口を入ると、地元のお母さんらしき方々がお茶とお菓子の準備中。シナモンロールやルバーブケーキ。コーヒーやハーブティのティーバッグ。

演奏会場は広くて天井が高く、二階まで吹き抜けになっている。正面に木のピアノが一台。その後ろには装飾幕代わりの大きな板が一枚。フィンランドの花「ウニッコ」が書かれている。Timoさんが嬉しそうに練習をはじめる。やはりエレピより断然弾きやすそう。そこへカメラを持った青年がやってきた。マンドリン奏者でもあるJarmoさんだ。TimoさんとPhillipに頼まれて撮影にやってきてくれた。ここで我々の写真も撮ろうという計画。早速Timoさんを撮り始める。

お母さんたちからパンをいただき腹ごしらえをして本番。今日は100人近く。老若男女さまざま。地元に根付いている場所、そこに足を運ぶ人々は音楽への集中度もある(昨日もそうだった)。昨日よりは幾分冷静に、よりやりたかったことをやろうとする。しかしそれがいいのかどうか。でも手ごたえはある。

休憩時間。Timoさんは地元の人気者!みんなに囲まれている。お客さんたちは思い思いに外をぶらついたり、お茶をしたり。休憩の終わりは、建物の管理人マルクさんが拡声器で二階から声を張り上げる(あんまり面白かったので、再現してもらったのが以下の写真)。再開直前、マルクさんが先のウニッコが描かれた板をひっくり返す。雰囲気を変えてということらしい。裏には白樺林が描かれている。

後半のステージでは、あらひろこさんを想って作ったTimoさんの「Hiroko」と私の「Valkoinen kukka」も。Timoさんがちゃんと皆さんに経緯を説明をしてくれた。ようやくここまで来ました、とあらさんに語りかけるように弾いた。

今日は粛々と決められたMCをしようと思っていたのに、馴染みの会場にリラックスしたTimoさんは、ちょいちょい私のMCにツッコミを入れてくる。最後の「なのはな」では、私が語り終えると、「それで、日本人はなのはなを食べるんだろう?」とニヤッと笑った。…言わないつもりだったのに!

大きな大きな拍手をもらってアンコール。昨日と同じく、フィンランドタンゴの名曲「Hiljainen Kylätie」(静かな村の道)を。ここでもTimoさんがアドリブで、「ユカ、何か言いなよ」と言う。フィンランド人の前で、有名なフィンランドタンゴを演奏する日本人の私。「皆さんが良く知っているタンゴに、ちょ、ちょ、挑戦します!!」
最大火力で臨んで、より大きな拍手をいただいた。
終演後もたくさんの方に話しかけていただき、ほっとする。

お客さんが落ち着いたところで、外に出て、Timoさんと写真撮影。Jarmoさんの指示でお互いの顔を見たり、そっぽを向いてみたり。Timoさんが「おいおい、僕らはシャイなんだから勘弁してくれよ」なんて言いながら。

こうして演奏は全て終了、いよいよレコーディング!