「リハーサル初日」フィンランド演奏記その3

7月2日
いよいよ今日からリハーサル。Timoさんが車で迎えにきてくださる。別の地方の民族音楽祭に出演していたTimoさんは前日夜帰宅からの今日。お疲れ様です…
車で、今回のプロジェクトについて話し合う。リハーサルやアルバムのこと、Timoさんが楽しみにしてくださっていたことが伝わってきて、うれしい。

着いたのはヘルシンキミュージックセンター。ヘルシンキの中央駅近くにある、大きなコンサートホール。2013 年にオープンしたそうで、内部も美しい。この一角に、Timoさんが教師を勤めるシベリウスアカデミーが入っている。そこの練習室でリハーサル。音大生がちらほら練習していて色々な楽器の音色が聴こえてくる、ザ音大って感じ…

グランドピアノのある部屋へ。大きな窓、外からの風景も美しい。

Timoさんは、パソコンを立ち上げ、ピアノを弾き始める。まずは「なのはな」から。録音で聴いていたTimoさんの音がすぐ近くで鳴っている。心がふるえる瞬間だった。事前に打ち合わせたアレンジで通してみる。実際に生の音を聴くと、イメージが変わるところもあり、一部コードを変えたり役割を変えたり、ふたりの形にととのえていく。

うまく進む曲もあれば、進まない曲も出てくる。Timoさんの「Naamio Tanssi」は、どうも私が持っていたイメージとかなり違うようだった。もっと違う音色で、リズムはこう、と色々な指示がくる。手に汗がにじむ。この曲はTimoさん自身もちゃんと音源化していないようで、迷う部分もあるようだった。原曲から何度かアレンジしなおしてのチャレンジだがむずかしいかな…。お互い第一外国語ではない英語、伝えたいことと気遣いが入り混じって会話がカオス…
(この先、ああもっと英語が話せたら…と100万回思うことになるのだった…)

Timoさんが大変そうだったのは、私の曲のメインメロディを弾く部分。すべてをデュオで、となると、やはりピアノにメロディを奏でてもらいたいところが出てくる。Timoさんはストイックな性格である。自身満足のいかない部分にいらだちながら何度も弾く。そうやって集中を高めていっている。私はそれを横でハラハラしながら見つめるばかりであった。

Timoさんは曲の検討が終わるごとに「Are you happy?」と聞く。幸せかい?と直訳して最初は??となっていたけれど、勿論これは「こんな感じで満足かい?」という位の意味である。でもhappy?って聞くの、なんかいい。

フィンランド滞在中の私の食事は、PhillipさんとTimoさんで、という取り決めがされているようで、ランチはお魚料理、夕食は鮭のスープ(ロヒケイト)をご馳走になる。うおー味がしっかりついている!ロヒケイトについてる甘い黒パンがすごく美味しかった。