「譜面とデモ音源」フィンランドレコーディングへの道-その6-

5月の半ば。演奏曲がほぼ決定したところで、Timoさんは、私の曲含め全てのリードシートを作って送ってくださった。大変な労力!いくつものプロジェクト、レコーディング、コンサートを抱えるTimoさん、自分が即座に理解できるフォーマットにしておきたい、というところなのだろう。勿論私にとっても見やすい。

今度は、その譜面に基づいたピアノのデモ録音が日々届く。
まず、私の曲をTimoさんが弾くとこうなるのか…という感動。さらに、ところどころTimoさんの解釈が入って、コードやサイズを書き換えている曲もある。
曲によってはフィンランド語でカウントが入っていたり、手が二本で足りない場合は、Timoさんがメロディを歌いながら弾いているものもある。

音源には、毎回但し書きメールがついている。総括するとこんな内容。
「これは仮に僕が適当に弾いてみたものだ。君はサイズも構成もメロディの振り分けも、
自由に決めていいからね」
あとよく書いてあるのが「ゴミみたいな演奏でごめん!」
私にしてみれば、デモ時点でこんな素晴らしいのに…というところなのだけど。これは謙遜か、本心か…フィンランド人に謙遜、という思考は存在するのだろうか…

全ての曲の音源が来て、現地でのリハーサルとして二日間、Musiikkitalo(ヘルシンキミュージックセンター)という場所をおさえてある、という連絡も来た。

よし、これで後はこの譜面と音源に基づいてそれぞれが練習をしておき、現地でみっちり打ち合わせをするのだな…と私は思っていた。

でもそうじゃなかった。
ここからが、Timoさんと音楽を作る作業本番だったのだ。